遠州流
遠州流茶道は、江戸時代初期の大名茶人であり徳川将軍家の茶道指南役でもあった小堀遠州を流祖とする、日本を代表する大名茶道です。小堀遠州は近江の国(現・滋賀県)に生まれ、幼少の頃より父から英才教育を受け、千利休や古田織部と続いた茶道の本流を受け継いだ人物でもあります。また、小堀遠州の交友関係は非常に幅広く、生涯400回あまりにわたって開いた茶会には、大名だけでなくあらゆる階級の人々が招待され、その数は延べ2,000人に及ぶと言われています。小堀遠州は非常に多芸多才で、書画、和歌だけでなく、建築・造園にも才能を発揮し、信楽焼など国焼の茶陶の指導にも偉大な功績を残しています。その稀に見る飛び抜けた芸術的センスを持った遠州は、日本の「レオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されることもあります。
440年にもわたって受け継がれてきた歴史を持つ、非常に格式ある遠州流。その真髄は、いわゆる「わび・さび」の精神に、洗練された視覚的な美しさや明るさなどを足すことで創り上げられる、調和の美を兼ね備えた「綺麗さび」にあると言えます。「稽古照今」という理念を持つ遠州流は、現在、「茶の湯を通して心を豊かに」をモットーとする 13世家元 小堀宗実 氏のもと、青少年の育成に茶道を取り入れ、世界中で子供たちに向けて茶道講座「遠州流茶道こども塾」を開講し、その理念のとおり、先人が築き上げた伝統文化の普及に努めるとともに、現代社会において茶道の文化や伝統を新しい形で活かしていく活動を行なっています。